絵描き界隈はAI嫌いが多い。「AIが自分たちが苦労して身に着けたスキルの価値を落とす」のもあるけど、とにかくAIの能力を自分の能力と錯覚してイキっているAI出力師連中のモラルが壊滅的で、わざわざSNSで絵描きが上げたイラストにAI絵を返信して「お前が三日かけて描いた絵より俺がAIでポン出ししたの絵の方が綺麗、お前の努力は無駄www」みたいな、「お前らはSNSのせいで、何を言っても殴られない環境に慣れすぎている」とタイソンでなくても言いたくなる浣腸野郎が大量に湧いたのが大きい。こいつら逆にアンチAIが、全人類がAIを嫌うよう仕向けるためにやってるんじゃないのか?もしそうでないなら、自分になんらかの精神疾患を疑うか、タイソンに殴られたほうがいい。
さて、そのAIで出力された絵だけど、ぱっと見は非常に綺麗で魅力的に見える。で、よく見れば手や髪の毛、ベルトなどが破綻している。これは3年前も今もあまり変わってない。また、全体的に悪い意味で描きこみすぎるため、メリハリがないことが多い。ただ女の子が立っているだけのような絵は上手いけど、人と人が絡んでいるような絵は苦手であり、指が6本だったり手が3本に増えたり髪の毛と指が融合してたり愉快な破綻が起きやすい。
なので、実はAI出力した絵を作品として完成させるには、破綻に気付き、違和感なく修正できるだけの絵心が必要。AIにプロンプトのみで指示を出すのには限界があり、細かいニュアンスをAIに伝えるには元になるラフ絵を上げる「image to image」が手っ取り早く、キャラクター原案とラフを自作できれると強い。黙っているとAIは平均的な絵しか描かないので、平均的であればあるほど一般受けする美少女には強いけど、個性的なキャラはつくれない。個性的なキャラは指示する方が作る必要がある。
以上から、もしイラストにAIをつかうのが主流の世の中になろうが、基本的な絵描きの能力は、まったく不要にならない。普通の絵描きがアシスタントとしてAIを使いだすと、真っ先にいらなくなるのは先ほどの浣腸野郎どもである。
AI絵を無加工でポン出しすればイラストとして成立すると思うのは、素人が魚をテキトーに切ってテキトーに酢飯に乗せたものを寿司と言い張るのに等しいのではないだろうか。かーちゃんがご家庭で出すなら何ら問題はないけど、回転しない寿司屋で出されたら客は怒るだろう。
俺はもともとゲーム会社のドット絵師であり、会社ではそこそこ描けている方だったけど、当時の最先端を走っていたスクエニなどのドット職人にはとてもかなわない程度のデザイナーだった。俺が入社した頃は今ほどゲーム業界は花形ではなく、ドット絵師は数が必要だったこともあり、その辺の「普通の人よりはちょっと絵が描けてパソコンがつかえるゲーム好きの兄ちゃん」程度でも業界に潜り込めたのである。(ついでに当時のハド・・・今は亡き札幌の某社は俺のような「変な奴」を積極的に入れるような社風があった。)
で、向上心がない若者だった俺は、ゲーム会社に入れただけで満足して、ドット絵をひたすら打っていたのだけど、間もなく、3DCGという黒船が到来。ただ、到来したばかりの黒船はぱっと見、ショボかった。先見の明のある人は荒いポリゴンではあったものの、スターフォックスやバーチャファイターのヌルヌルした動きに熱中し、FF7に未来を感じていたのだけど、当時の俺は今までは欠かさずプレイしたFFシリーズで、FF7をスルーするくらいに興味がなかった。ドット絵の方が表現力豊かだし、温かみがあるし、脅威にならないと思っていた。まあその辺の兄ちゃんだし、しょうがない。
それから、あっという間に3DCGが主流になった。
俺と一緒に3DCGよりドット絵だ!と言ってた人たちは、今もドット絵に固執しているだろうか?んなわきゃないよな。俺だってブルアカの3Dデフォルメキャラの細やかな動き見て「かわえーっ」って言ってますよ。
ドット絵の仕事を今でも続けられているのは、当時スクエニにいたようなレベルの、プロ中のプロだけ。時代が変わってもこういうエキスパートにだけは需要がある。でも、8割がたの俺のようなレベルのドット絵師は、パチンコとimodeで平成末期まではなんとか仕事があったものの、スマホの普及ともに職を失ったことだろう。そういった人間を「ドット絵の方がいい!3Dは駄目だ!(=移行する必要はない)」って言ってた人たちは面倒を見てくれるのか?見るわきゃないよね、自己責任です。
俺は身の程知らずにも漫画家を目指して、会社を辞めて上京しました。小池一夫先生の開いた塾(二期生:同級生いたら連絡くださいね)に入って漫画を描き、持ち込みなどをしていたのが2004年くらい。その時から、コミックスタジオ(現在のクリスタ)が普及しだし、PCで、タブレットを使い漫画を描くのが普通になり始めた。俺は漫画を描く作業の中で一番嫌いだった「消しゴムかけ」「枠線引き」「集中線」「トーン貼り」といった「仕上げ作業」が、むちゃくちゃ楽になった!と、早速、大喜びで移行したんですけど、当時はデジタル作画は従来のアナログ絵師(主に巨匠)から、かなり叩かれていたのを覚えている。「楽をした作品には魂が入っていない」「線に味がない」「停電したら描けない」「パソコンが壊れたら描けない」デジタル作画を否定する言葉はいくらでも出てきました。今、業界を見て、どうですか?これも、アナログで描き続けられているのは、スタジオを持って、たくさんアシスタントを雇える、プロ中のプロだけではないですか?読者としては、何で描こうが、面白ければどうでもいいと思いませんか?
ついでに、2009年ごろ、iphone3Gが登場しました。楽天イーグルスの試合を見に、原付で仙台まで行ったとき、向こうの楽天ファンの女子が使っているのを見て一目惚れ。その日のうちに仙台のヨドバシで購入しました。でも、友人に見せたところ、冷ややかに「そんなに電池すぐ切れるしパケット食うもの使い道あるの?」と言われました。どうしようもないガジェオタ的には大変魅力的な商品だったのですが、世間一般の目にはそんなもんでした。その友人も、もちろん今ではスマホ使ってます。
ダウンロード販売で実体のないデジタルデータにお金払うのも、スマホのタッチ決済も、忌避感があったものが、いつの間にか急速に当たり前になっている今日この頃です。AIもこれらと同じで、多分、誰が拒もうと、悪者にしようと、危険を訴えようと、魂が入っていない!と言おうと、使っている奴の一部がどうしようもないクソ野郎だろうと、なくなることはないでしょう。それどころか、ガンガン社会に食い込んでくることでしょう。
それでもAIを使わないのは勝手ですけど、結果を受け入れる覚悟はしなくちゃいけません。おそらく、これからの社会では、あらゆる分野でAIを使うことを前提とした成果物が求められ、AIを使わずとも要求に応えられる一部のプロ中のプロは、これまでの例のように、今と同じことをしていても生き残ります。そして、何も考えずこれまで通りのやり方に固執するだけの8割がたの有象無象は、容赦なく淘汰されることでしょう。失業したドット絵師と同じく、自己責任として切り捨てられるでしょう。現在、ドット絵で描くこと、アナログ漫画で描くこと自体が評価されないのと同じように、「AIを使わないこと」自体が評価されるのは今だけということです。
そんな過渡期なので、あちこちの識者と一緒に、カモを探している怪しい情報商材販売野郎が「AIをやらなきゃやばい!今なら1日で100万円稼げるAIの使い方を、たった10万円で教えます!詳しくはNoteで!」と煽っているわけで、ますます胡散臭さを感じてしまうわけですが。
次回は実際にAIとの協業でイラスト作品を作ってみようと思います。
で、今回の投稿をGeminiに見せたら、次回、何するつもりか聞いてきたので「ChatGPTと一緒に立ち絵を作って、それをデフォルメさせて、ドットに落としてアニメ作る予定、あ、ドットアニメもChatGPTに作らせてみようかな」的なことを言うと、何も言わずにこんな画像を作ってきた。

なぜ英語?
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